盆栽はヨーロッパ、特にイタリアやスペインでブームだそうです。バレンティンさんは間もなくドイツに帰国しますが、帰られたらまず、ドイツの師匠さんを招いて展示とデモンストレーションを行う予定のようです。
セミナーでは、水をやったり接ぎ木をしたり、植え替えたりといった実際の仕事の内容や、盆栽の種類や育て方、歴史、盆栽の形の意味、その美しさなど専門的なお話もして下さいました。もちろんドイツ語です!日本人にはなじみのある単語でもいざドイツ語で説明を受けると、新たな言語的発見もあったのではないでしょうか。
修行先の春花園では1日12~15時間の勤務時間。お昼は15分でご飯を食べたらすぐ仕事、夜も食べたらまたすぐ仕事、日によっては夜中の12時まで仕事。
盆栽を育てるのは赤ちゃんを育てたり動物を飼う事と同じで、毎日毎日ちゃんと世話をしなければなりません。赤ちゃんはお腹が空けば泣きますが盆栽は何も言わないので、常に何を望んでいるかを注意深く見ていてあげないと枯れてしまいます。ドイツとは全く違う、慣れないハードな生活が初めは本当に大変だったそうです。
日本語を勉強する時間はほとんどないので、仕事で話す先輩や同僚の言葉を覚えるしかなかったようです。初めは師匠や先輩との上下関係がわからず、長い間先輩を呼び捨ててしまっていたそうです。
ドイツの修業システムは体系的で、1年目はこれとこれを勉強して、2年目はこれ…と決まっているのに比べ、春花園ではひたすら毎日お仕事、お仕事。夜、仕事が終わって寝るまでの少しの時間に見よう見まねで自分の作品を仕上げ、それを師匠に見せた時に初めていくつかのテクニックを教えてもらうのだそうです。最初からただ習うだけでなく、いきなり仕事の現場に入って自分で見て考える日本式の修業システムは、新しいアイディアも沸き、とても興味深かったとのことです。
バレンティンさんは一旦ドイツに帰り、ヨーロッパを中心に色々な活動を計画中ですが、まだまだ勉強も必要なので日本には近々また戻りたいとおっしゃっていました。日本発のBONSAIが、ドイツで、そしてヨーロッパでどんどん広がっていくのが楽しみですね。そして次にバレンティンさんがいらっしゃった時は、ドイツ風の新しいBONSAIに出会えるかもしれません。
ヴァレンタインさん、帰国直前の貴重なお時間をありがとうございました。